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中国の「ライカ」

 ドイツの高級カメラ「ライカ」をモデルにした中国のカメラ「紅旗20」です。中国の建国1949年から20周年を記念して開発され、1970年代初めにわずか271台だけ製造されたといわれています。このカメラには毛沢東の輝毫による「紅旗」の文字が赤く刻印され、大きな特徴となっています。
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  中国は先進国のありとあらゆる工業製品を模倣してきました。ほとんどが粗悪な品質でしたが、ドイツのライカM型をモデルにしたこのカメラは、コピーもののなかではきわめて高品質でした。もちろん本家のライカには劣りますが、機械としての質感、耐久性そして肝心の撮影性能において中国カメラ史上で特筆すべき存在です。

 レンズは標準、広角、望遠と三種類用意され、いずれもライカのレンズを模倣しています。広角レンズは絞りを大きく開いて撮影するとソフトフォーカスレンズのように滲んだ独特の描写をします。本物のライカのレンズも同様の描写をするそうです。
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    基本構造は上のライカM3、M4とそっくり

 製造された時期は文化大革命(1966-76年)のまっただなかでした。この文化大革命で主導的な役割を果たした毛沢東夫人の江青は写真好きで知られており、このカメラの開発を指示したとの説があります。中国の研究者の間でも江青指示説には賛否があるようですが、まだ貧しかった中国でこれだけの高級機を製造できた背景には大きな政治権力があったとしても不思議ではありません。真偽不明のこの「伝説」を含め、紅旗20は多くの特異性をまとったカメラといえるでしょう。

by haterumarisiri | 2019-01-06 17:39 | カメラ | Comments(0)